筆者は栄養士の資格が取れる短大を卒業しています。
その時の授業の一環で小学校に実習に行ったことがあるのですが、満腹でもないのに給食を残す女の子たちと出会いました。
そう、『ダイエット』しているのです。
小児肥満と診断され、運動や食事制限が必要と言われたワケではない子供たちがダイエットをしようと考える理由は?その影響は?
目次
小学生がダイエットしていると知った20年前
冒頭にも書きましたが、短大に通っていたのは今から20年も前のことです。
実習では、小学生たちに『食べ物の栄養と給食の大切さについて』お話する時間をもらい、作成した資料を黒板に貼って「これは赤・黄・緑のうち、どの色の食べ物でしょうか?」なんてやってました。
また一緒に給食を食べる機会が2日間あり、1日は3年生と、もう1日は5年生と一緒に給食を食べることに。
3年生はみんな元気いっぱい、とても幼く見えました。
しかし、5年生と給食を共にしたとき、白飯を半分残す女の子数人を発見。
残す理由を聞くと…「太りたくないから」という回答が来て衝撃を受けました。
現代の小児の体型傾向
子どもの肥満や、やせが問題視されています。特にダイエット志向の低年齢化は子どもの成長に必要な栄養素の不足を招き、健康に大きな影響をおよぼします。からだの成長に合った食事をきちんと食べて、適度な運動を心がけ元気なからだをつくりましょう。
引用元:小児肥満とダイエット願望:農林水産省 より一部抜粋
肥満の原因
子供の肥満の原因としては、以下のようなことが挙げられます。
- ゲームの普及
- 塾通いや習い事
- 身体を使って遊ぶ機会が減った
- 偏った食事
- 夜型の生活
1970年代から1990年代にかけて日本が経済的に発展し、飽食の時代と呼ばれるようになりました。
インターネットの普及も大きく影響していると言えます。
子供の肥満のほとんどは、単純性肥満という摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることが原因です。(引用元:肥満|日本小児内分泌学会)
やせの原因
2001年度に行われたベネッセの調査では、小学4年生~6年生の女子のうち約70%が「今よりやせたい」という願望をもっていることが分かりました。(引用元:モノグラフ・小学生ナウ「子どものやせ願望-見た目を気にする子どもたち-」ベネッセ教育総合研究所-チャイルド・リサーチ・ネット)
子供のやせ願望については、引用した資料のp.46~記載されています。
また、上の調査データを読み進めていくと、やせ願望の要因が環境にあることが分かります。
- 周囲の目が気になる、オシャレに見られたい
- 自分は太っていると思っている
- 家族からやせたらと言われる、家族がダイエットをしている
- 学校でのストレス
- 家庭でのストレス
あれから年月が経過しましたが、やせ願望の傾向は変わっていない印象です。
成長期に栄養が不足すると…?
鉄欠乏やそれに伴う貧血は、だるい・疲れやすいといった自覚症状や発育障害などをもたらします。
無理なダイエットや偏った食生活は、鉄以外にも健康を維持する上で大切な栄養素の不足を招きます。また「食べない」といった無理なダイエットを繰り返すと、エネルギーを体脂肪として蓄えやすい体質になります。
さらに「やせ願望」が深刻化すると、「神経性食欲不振症(拒食症)」や「過食症」を招く恐れがあります。いずれも摂食障害ですが、前者は太ることを恐れて食物を避けるために極端なやせを伴います。多くは思春期から青年期早期にかけて発症すると考えられています。後者は週に数回・数ヶ月間にわたる過食と、体重増加を防ぐための不適切な代償行動(嘔吐、下剤の使用など)の両方が存在し、拒食症よりは発症が遅い傾向があります。
摂食障害が慢性化すると、無月経や低血圧・不整脈など多くの健康障害を招く恐れがあります。摂食障害の要因には、強い「やせ願望」以外にも不安やストレスなど精神的な要因もあります。まずは適切な体重を理解し、誤った「やせ願望」を持たないようにしましょう。また食べること以外に、体を動かしたり趣味など持ってストレスを解消してみましょう。
引用元:若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題-厚生労働省 から一部抜粋
食べないダイエットは、エネルギーを蓄えようとより体脂肪が増えやすい体質になり逆効果。
また、発育障害や摂食障害を引き起こしてしまう恐れがあります。
良いことなし!!
やせ願望を持たせないように家庭で気を付けること
我が家の一人っ子も女の子で、小学1年生ながら「太った~」とふざけて言ってます。
- 成長曲線内なら問題ないことを教える
- 食事の際に大人が「太るわ~」など発言しないように気を付ける
- トレーニングはダイエットのためでなく鍛えるためにやっていると説明する
- 屋外での遊びにもきちんと付き合う
成長曲線内なら問題ない
以下が我が子の成長曲線ですが、標準範囲内です。
発育に問題があれば小学校での健康診断で医師からお話があるはずです。
大人の発言や行動を気を付ける
身近な大人からの「これ食べたら太るわ~」「やせなきゃ…」など、ダイエットを意識する発言で『やせなければ可愛くない』という認識を刷り込ませないように気を付けましょう。
また、筆者も自宅でトレーニングをするのですが、それがダイエットのためという認識にならないように根気強く伝えたいです。
屋外での遊びに付き合う
最近では「大きな声を出して遊ばないように」など注意書きが掲示されている公園があるそうですね…
そんな公園って公園である意味あるんでしょうか?
我が子は、同級生のお友達と大きな公園で鬼ごっこをしたり、遊具を使ったり、縄跳びをしたりします。
お友達と遊べない時も、マンションの下で縄跳びをしたり、買い物でウォーキングがてら歩いたりを一緒にします(ペーパードライバーなので基本歩きます)。
高学年になってくると外で走り回って遊ぶということ自体が減りそうですから、おうちでYouTubeを見ながらのエクササイズに誘ってみようと思います♪
さいごに
- 必要のないダイエットは健康を害する
- ダイエットを意識させるようなことを周りの大人が言わない
- 食事は健康的に摂り、運動もしっかりさせる
テレビ・Youtubeに出ているアイドルやインフルエンサーの影響で、やせ=綺麗・可愛いという認識が刷り込まれている昨今、なかなか意識を変えることは難しいかもしれません。
そんな中でも、一番身近にいる親兄弟が本人の現在を肯定することが大事だと考えます。
やっぱり何事においても「自己肯定感」って大事なんですね…!!
我が家も、子育ての手が離れるまではしっかり食生活や運動環境に向き合っていきます。